また出てきた。このシリーズ永遠に続くんとちゃうか?
風がベアする
船を風上に切り上げるのをラフ、落とすのをベアという。あれは、”luffing up” と “bearing away (off)” で全然合ってるのだけど、風が時計回りにふれることも「風がベアする(逆はバックする)」という。この場合のベアも、上のと同じ “bear” なのだろうと、特に考えなく信じていた。
違います!
風が時計回りに振れるのは、”veer”。発音的にはヴィアだ。これを最初にベアと表記した人は、どうせ日本人は下唇を噛んでヴィアなんて言えないから、ビアと書いてしまってビールのことと間違われるぐらいなら、ベアって書いちゃおうってことだったのではないかと思う。
ただ、こういう事を一旦知ってしまうと、やりにくくてしょうがない。船の上で「今日の風は、ヴィアしていきそう」などと発言し、わざわざ「何?そのヴィアって」と聞き返させておいてから、ひとくさりウンチクを垂れるなんて、いやらしいジジイ以外の何ものでもない。これからは、「きょうの風は時計回りに振れそうやね」と日本語で言う事にする。
スパイキ
次は、ロープワークで使うスパイキ。
あれは、”spike knife” だから、スパイキはかなり訛っている。さらにマリンスパイキなんて言われると、”marine” には船員の意味もあるので、「船員さんの先がとがった形状のナイフ」で何も問題なさそうだが、これは、”marlin spike” 。マーリンはマカジキのことで、その吻(フン)と呼ばれる長いツノから作られるためだ。
実はここまでは以前から知っていた。知らなかったのは、カジキには、マカジキとメカジキがいて、別の魚だということ。メカジキの方が吻が長くて立派なのだが、スパイキに使うには、マカジキの方が太く、断面が丸いので(メカジキは平べったい)具合が良いらしい。英語でマカジキは、”marlin” だが、メカジキは “swordfish” だから、上等のマリンスパイキを持っている人は、「これメカジキで出来ているホンモノなんや!」とか間違えて自慢しないこと。
バウ沈
最近気が付いて恥ずかしかったのは、ピッチポール(バウ沈)。”pitch pole” つまりヨットが棒を放り投げた時のようにでんぐり返しに転ぶことなのだが、どういう訳か、何十年もの間、ピッチボールだと思っていたし、実際にそう使っていた。だれか訂正してくれれば良いものを。
ということで、このシリーズは当面続いてしまいそうだが、早く書くことが無くなってほしい。
コメント
取引先企業の役員さんで、「鑑みる」をいつも「かんまみる」って言う人が。
誰も指摘出来ず、彼の出て来る会議の資料に「鑑みる」と言う単語はご法度です。
なかなか訂正出来ないもんですわ…