大阪の海遊館の前のデッキから港を見ていると、丸一日いても飽きる事が無い。とりわけ、小型の貨物船が、タグの助けも借りず、少数の乗組員だけで離着さんする様子は職人技で、ヨットの操船にも参考になることが多い。
まず、これは海遊館の専用水運搬船。水族館には大量の清浄な海水が常時必要だそうで、毎日のように和歌山沖へ取りに行くのだとか。
乗組員は僅かに4人。ブリッジに一人、機関室に一人(たぶん)、甲板に二人。
まず、バウのスプリングラインをバイトに取って、他は全て回収。タグボートはおろか、陸で綱の付け外しをしてくれる人もいないから、一番若い甲板員のお兄さんは陸でラインを外した後、ボラードから舷側の古タイヤを足掛かりに、ぴょんとガンネルを超えて甲板へ。かっけー。
次に、取り舵いっぱい前進微速で、横圧流を利用して船尾を岸壁から引き離す。
船尾が離れたところで、舵中央、後進微速として、スプリングを回収。
そのまま後進して離岸完了。
見事なものですな。
因みに、大型船の操船は我々には全然参考にならない。これは別の港だが、18万トンのケープサイズ(さっきの小船の30倍以上の大きさの船)が3500馬力のタグ4隻で強引にその場回頭させられているところ。技も何も無しで腕力のみ。
次はもう少しマニアックな操船。
この場所は河口にあって、水は右から左に流れている。そこで、岸壁(この場合は、本船に横付けのため本船の舷側)に向かって直角に侵入。約50m手前で左舷錨を投入。
行き足が完全に止まったところで、そのまま待っていると、右舷側からの水の流れで船尾を振り始める(スクリューが回っている様子は無かった)。
45度ぐらいまで船尾を振ったところで、バウのスプリングラインを取る。
次に船尾のスプリングを取って接舷。(このタグボートは映り込んでしまっただけで、関係ありません)
ヘッド、スターン、ブレストの各ラインは後でゆっくり。そもそも人手が無いから、いっぺんには固められない。それもうちの船と一緒ですわ。
これも、なかなかのもの。いずれのケースもバウスラスターはある筈だが使っている様子はなかった。
近頃はヨットでもスラスターを付けちゃう人が多いが、ちゃんと操船できれば要らないんじゃね?
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