仕事の関係で音戸漁協の組合長さんをお訪ねする機会があり、お部屋で立派な打瀬船の模型を見つけた。
「組合長さん、これ打瀬ですね。」
「おう、よう知っとるの。わしのこまい(小さい)頃は、このあたりでも、にさんじゅう(20-30隻)はおったがの。」との事だった。
打瀬船は、船を風又は潮と平行に向け、この長いパルピットとスタンピットから網を繰り出して、風や潮の力で底曳き網漁を行う船だ。
同様の船は東京湾をはじめ各地にあったようだが、その土地によって微妙に船型も帆装も違う。この模型を見ると、和船のハルに2本のガフリグを持ったスクーナーになっている。
霞ヶ浦の打瀬などは、巨大なパラシュートのようなセールを揚げて操業するが、この船の帆装は、それに比べて随分小さい。安芸灘は内海とはいえそれなりの風波もあるし、それ以上にこの辺りは非常に海流の強いところが多いので、巨大なセールを使わなくても、潮の力で底曳きが可能だったのかも知れない。
こういう純帆装のスクーナーが20隻も30隻も沖を行き来していたら、きっと壮観だったろうと思う。
2016/12/15
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