もう一月ほど前になりますが、JOSA(Japan Osean Sailor’s Association 北田浩代表)が定期的に開催されている3日間のサバイバルトレーニングに参加してきましたので、ご紹介します。
初日と2日目は、シーサバイバルの講義と実技、3日目はメディカルの講義と実技。3日間フルにみっちり仕込んでもらえます(JOSAのホームページ:https://www.josa.jp/seasurvival)
World SailingのOffshore Special Regulation (外洋特別規則、以下 OSR)は、外洋レースへの参加資格として、OSR6.02(シーサバイバル)や、OSR6.05 (メディカル)等のトレーニング受講を求めています。自分は外洋レースに参加する可能性は皆無だけれど、ここで教えて貰える知識や持つべき習慣(シーマンシップですね)は、これまで数々の外洋レースで発生した不幸な事故の教訓の上に、時間を掛けて積み上げられて来たものなので、クルージングセーラーでも必ず身につけておくべき内容だと感じました。
講義内容は、提携先との著作権のお約束があるとのことで、細かくは紹介できないのですが、主催者から提供頂いた写真(主に実技)はどんどん使って宣伝してくださいとの事でしたので、以下に一部をご紹介します。
下の写真は、防火布を使った消火訓練。本物の火が燃えているところに布をパタっとかけるのは結構怖いのですが、教えてもらった通りに布を逆手に持ち、体を防火布で隠して近づけば熱くなかったです。
この後、消化器による訓練も実施しますが、会社の消化訓練なんかは、水しか出ない消火器を火の絵が描かれた看板に当てるやつじゃないですか?ここでは本物の粉末消化器で燃えている火を消します。近づきすぎると鍋の中の着火剤が飛び散ったりしますが、こういうのは経験しないとわからないですよね。
今度は信号紅炎を実際に焚いてみます。船にも期限切れ品が余ってるけど、下手に点火したら騒ぎになりますからね。結構火のついた燃焼剤がポタポタ落ちるので、ちゃんと風下に維持しないと危ないです(これは桜マーク製品ですが、設計にも問題あるんじゃないか?)。
艇体放棄してライフラフトに乗り移り、漂流する体験。シナリオに沿って、発生する問題に順次対応することになっていたのですが、実際にやってみたらもうバタバタ。今のままでは多分助かりませんな。
生まれて初めてサバイバルスーツを着ました。怪しい人たち。
この後、実際に水に入って、裏返しになったラフトの沈起こしをしたり、離れ離れにならないように、体を組み合わせてハドルを作ったりします。でも、サバイバルスーツを着ると動きがとんでもなく制約されて全然泳げないし、ハドルも自分達で組んだというよりは、コーチに引っ張ってもらって組ませてもらったという感じ。
これは、ヘリ(に見立てたウインチ)からスリングで吊り上げてもらったところ。
ほんとに貴重な体験でした。ラフトなどの装備を持っていても、ちゃんと訓練を積んでおかないと、多分実地では役に立ちません。自分も今回一度だけ経験させてもらったぐらいでは、全く実用域に達していないと思います。エオリア号の事故の時に辛坊さんが助かったのがむしろ奇跡に思えます。
3日目のメディカルトレーニングは、船上で自分自身や他の乗員に起こり得る病気や怪我に対して、非医療従事者に可能な範囲での対処方法を、心臓マッサージなどの実技も含めて教えて頂きました。
この子に確か名前がついてたんだけど、忘れちゃった。
講師のDr. 森村の、「知識は生存に直結する」とのお言葉は、しっかり耳に残っています。
シーサバイバルとメディカルと、いずれも最終試験に合格すると、JSAFとJOSA連名の認定証がもらえます(レースに出ないから使い路はないけど)
受講料は決して安くは無いのですが、これだけのトレーニングを実施するのには、当然お金がかかります(ラフトを膨らませるだけでも復旧に相当のお金がかかりますからね)。ほとんど北田代表とスタッフの皆さんの熱意と使命感だけで続いているような感じです。
このトレーニングは、クルージングセーラーにこそ必須だと思います。貴重なトレーニングの機会が、将来にも亘って提供し続けられるためにも、この記事を見てご興味を持たれた方には、是非受講のご検討をお願いしたいです。きっと損はしないと思います。
コメント
あれー?私の時の人形は女性(有名なセーヌ川のレサシアン)でテンションあがりましたけど、野郎の人形ではテンション上がらないですね。
なるほど、フランス人は発想が違うなあ