船検がらみで、航海灯のバルブには結構苦労した。
LED化される前に、国産の航海灯に使われていたバルブは下の図のBA15Dで、固定用のピンが180度開いて同じ高さにあることと、電極がお尻に2つついていて、これが+と-になっているのが特徴。ボディーは絶縁されていてアース(-)にはつながっていない。
このバルブは、小糸などが船灯の交換用としてまだ売ってくれている。また、本当はいけないのだろうが(同じものと交換しなければならない)車のバックランプと同じ規格なので、カーショップでも手に入るし、LEDのバルブもいろいろ売られている(但し、バルブだけLEDに換えると船検で引っかかる)。
さて、問題は輸入艇だ。
うちの船の両舷灯、船尾灯、マスト灯(機走灯)には、ピンが180度段違いのBAY15Dタイプが付いていたが、測ってみると電極の構成はBA15Dと同じ(お尻の2極が+/-でボディーは絶縁)になっていた。国内で売られている180度段違いピンのバルブは全てBAY15Dで、これはブレーキランプ用。つまりお尻の電極はいずれも+で、片側に通電するとテールランプの弱い光、もう片方に通電するとブレーキを踏んだ時の強い光が出るようになっている。
一方、船灯のソケットは、お尻の2極に+と-を流すので、国内で手に入れたBAY15Dでは点燈しない。
実は、LEDでも良ければ、BA15Dで180度段違いピンというものがわずかながら存在するのだが。
それで、結局どうなったかというと、両舷灯、船尾灯、マスト灯(機走灯)の3つのうち、かろうじて残った最後のバルブを必須の両舷灯に回し、船尾灯とマスト灯は、全長12m以下の小型船の特例、「マストトップの全周灯(こちらは三色灯と一体で小糸製)を以てこの2つに代える事ができる」との規則を援用して、使用を中止することとした。したがって、現在、機走中は両舷灯とマスト全周灯、帆走中は三色灯が点燈している。
とはいえ、この最後に一つだけ残ったルール適合のバルブもいつかは切れるだろう。
こっちは、小糸や伊吹の新ルール適合のLED灯に換えるのをケチっている訳ではない。むしろ早く取り換えたいぐらいだ。しかし、ヨットに取り付けるには、平面置き用だけではなく吊り下げ用ブラケットなどが必要になるが、それらがどこにも売られていないのだ。
これでは交換したくても交換のしようがない。
このように実態を無視してルールだけを押し付けてくるお役所仕事には困ったものだ。
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