近頃の気候では、エアコンなしではとても船内で寝られないので、夏は陸電が取れるマリーナか、宿が取れるところにしか行かないという事になるが、明日はどこのマリーナ、翌日はどこの民宿と全部予約を取ってからでないと出かけられないのでは、ヨットという遊びの自由さが相当程度減ってしまう。
300Ah x 2 ぐらいの巨大なハウスバッテリーがあれば、(後でどうやって電気を補充するかの問題はともかく)陸電のないところでもエアコンを回すことができるのだが…
そこで、まずは下のような計画図を作ってみた。

素人っぽい図面だが、これは正確には配線図ではなく、配線取り回し図というべきもので、設置する必要がある配線を、マイナス側も含めて省略せずに全部書き込んだもの。
意図する動作は、
- サブバッテリーは、第一系統を鉛、第二系統をLiFePO4として、負荷(配電盤、ウインドラスなど)をいずれに繋ぐかは、バッテリーセレクターによる手動切り替えとする
- オルタネーターは、メインバッテリーだけに給電する
- 走行充電器(Renogy)は、メインバッテリーの電圧をモニターして、メインが一定の電圧になると、メインからサブ(第二系統のみ)への充電を開始する
- 走行充電器は、ソーラーパネルからの給電をサブバッテリー(第二系統)のみに充電するが、メインからサブへの充電が始まったら、ソーラーからの電圧を調整して、メインからサブへの充電を阻害しないようにする(これは充電器の機能)
- チャージコントローラー(Vectron)は、3つのアウトプットを持ち、陸電からの給電を、メイン、サブ(第一系統)、サブ(第二系統)の順に調整充電する
- 為念、リレーを入れて陸電が来たらソーラーからの給電は止めるようにする(2つのコントローラーの充電電圧を細かく設定するよりは手っ取り早そうだから)
サブバッテリーの第一系統(鉛バッテリー)は、陸電からのみしか充電されないし、そもそもバックアップ以外の用途は無いのだが、何故残すかというと、実は船検対策だ。JCIでは、かなり前からリチウムイオン電池の安全基準の検討がされているようだが、全く進んでおらず、現在はうやむやになったまま、検査員毎に言うことが違うというのが現状だ。そのうち突然、桜マークがないリチウム電池は使用禁止などと言い出さないとも限らない。このシステムなら、航海灯もエンジン始動も、船舶運用に必要な電力は全て鉛バッテリーのみで完結できる。LiFePO4の方は航海には必ずしも必須でないものが、「たまたま積んであるだけ」という位置付けだ。どうしてもというなら降ろしても船は動く。
ま、それは兎も角、600Aのバッテリーバンクをフル充電するには、陸電でも最低20時間(30Ah)、走行充電で12時間(50Ah)かかる。実際には公称能力いっぱいには充電できないから、その1.5−2倍ぐらいは時間がかかるだろう。ただ一方で、エアコンも定格いっぱい(580W、48Ah@12V)までは消費しないだろうから、節約して使えば、最低3日に一度は陸電のあるマリーナで充電しましょうというような運用で許してもらえないかと期待している。
ところで、これを実現するには、バッテリー2本、コントローラー2つ、スイッチ類などで、ご予算ざっと30万円というところ。しばらくお小遣いを節約して貯めないといけないなあ。
【6月29日追記】
早速ですが、2つほど変更の必要が生じました。
- 手持ちの電流計のシャントは、陰極側に設置しなければいけないやつなので、鉛蓄電池の系統(第一系統)とリン酸鉄リチウムの系統(第二系統)それぞれに1つづつ設置せざるを得ないようです。理論的には陽極側にも設置できるはずなのですが、内部の配線が陰極専用になっていました(ほとんどのシャント式電流計は陰極専用のようです)。
- リン酸鉄リチウムの系統は、Renogyの300Ahを2本並列にしようと考えていましたが、バッテリルームのサイズが足りず、Li Timeの460Ah一本とすることにしました。容量は減りますが、BMSのトラブルのリスクが幾分減りそうなので、まあそれでも良いかと。
というわけで、新たな配線図は次のとおりです。

コメント
結線図見ながら、これお幾ら万円?と思ってたら最後に書いてあった。
ちょっと沼な予感がしつつ、楽しみですね!(見てる分には)