港のバーといえば、妙齢のママが一人で仕切る、うらぶれた暗いバー。「うちは一杯ごとの現金なのよ。そうでないとみんな何杯飲んだか忘れちゃって揉めるの。」そういうお店を期待して、恐る恐る入り口のドアを開けてみたのですが…
場所は丸亀港、岸壁に面した倉庫街の一角にひっそり佇む謎のバー。名前をサイレンスバーと言います。
ドアを開けてお店に入ってみてびっくり。
高い天井に、珍しいものも含めてすごい種類のスコッチのボトルが並ぶ異空間。まずは、このギャップに圧倒されました。
ちょっとこの感じ、最近どこかで会ったなと思ったのですが、ひょっとして前日に訪れた郷照寺の万体観音???
ま、冗談はさておき、とりあえず何か頼んでみよう。ボクはマンハッタン、家内は何かラムベースでお願いしますと言って、ギムレットになりました。
マンハッタンのオンザロックなんて所詮は邪道な飲み物なので、適当に作ってくれれば良かったのですが、完璧にステアしたマンハッタンを素敵な丸氷の上に注がれちゃいました。帝国ホテルと一緒や。
実は、こちらはこの地で37年間続く、知るひとぞ知るモルトバーなんですって。伊集院静さんが2009年に文藝春秋に書かれて、それ以来、東京大阪からくる人や有名人のお忍びも多いとか。
それは失礼しました。では、次はアイリーを頂きます。「お客さんヨットなんですか?じゃあ、ブナハーブンなんかどうですか?ノンピートだから飲みやすいですよ」「ではそれで」。
おー、おじさんがラット持ってる。確かに素直でスムーズ。言われなきゃアイリーだとは気づかないかも。船にこっそり一本置いておこうっと。
あと、帰り際に気づいたので注文できなかったのですが、こちらの名物、サイレンスハイボールは、ベースのタリスカーをウォッカみたいにキンキンに冷やして氷の上に注ぎ、ソーダを加えたもの。贅沢な飲み方ですが、今度来たら一度は注文してみなきゃね。
家内と二人、2杯ずつ頂いて、1万円をちょっと超えるぐらい。銀座の老舗バーよりは少し安いかな。
異空間、隠れ家のワクワク感を含めれば十分お値打ち。是非また来たいのですが、丸亀港のビジターバースは風向次第でとんでもない揺れ方をするので、ちょっと辛いです。ヨットで来る人は、多度津から遠征するのが良い作戦なんじゃないかと思います。
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