親切なスカタンおじさん対策

先日、ある寄港先で着さんしようとしたところ、先にお隣に泊めておられた親切なおじさんが待ち受けていて、家内がうっかりバウラインを先に渡してしまったものだから、これを強引に引っ張られてスターン側が開き、家内が降りられなくなってしまった。結果的には、更に数人出てきてくれた人たちがスターンのラインを取って無理やり引っ張ってくれて無事着さん。スターンのラインを取ってくれた皆さんには感謝しかないが、この事態を招いた親切なスカタンおじさんは、多分一生その事実に気づく事はなく、操船のおぼつかない初心者の着さんを助けてあげて、とても良いことをしたとでも思っていることだろう。

当然の事ながら、おじさんも含めて皆さんに丁寧にお礼を言って別れた訳だが、ことスカタンおじさんに関しては、正直なところ余計なお世話も良いところで、これは何か対策を考えないといけない。

以前、あれは弓削の海の駅だったか、シングルで入ってこられた初老の方に、ボクも含めて数人がもやいを取ってあげようとしたところ、厳しい口調で「一切触らないで下さい!」と言われ、「気持ちはわかるなあ」と思いつつ、「これ、やっぱり感じ悪いよね。うちでは採用できないわ」と思ったことがある。

因みに、艇によって着さん時のシーケンスは違うだろうけど、うちの艇は通常はショートハンドだから、ワンラインドッキングを多用していて、以下のようになっている:

  • バウラインを桟橋に投げる(保険のため)
  • クルー(または自分自身)が船体中央部後方、具体的にはプライマリーウインチから取った仮のもやいを持って桟橋に移り、その端をできるだけ後方のボラードに止め
  • エンジンを前進に入れてワンラインドッキングで安定させてから
  • ゆっくり前後のもやいを決めて完了。
  • エンジン停止、仮のもやいは回収

なお、ワンラインドッキング(スプリングラインドッキングとも言う)は、この動画がわかりやすい。

バウラインは、本来先に投げる必要はないが、スプリングラインを取った後、風に煽られて、バウが大きく開いてしまうケースに備えたもの。今回はスプリングラインを取る前に、このバウラインを強引に引かれたので、スターンが開いてしまった訳だ。

そこで、親切なスカタンおじさん対策としては、できるだけロープを渡さないのが良いのだろうと思う。おじさんが、ロープ渡せのジェスチャーをしても、気づかないふりをして、先ずクルーがバウラインとスプリングラインを両方持って降りる。なお、降りてしまえばバウ側のラインは渡しても差し支えない。

もう一つ別の作戦としては、おじさんには、別のラインをミジップのクリートから取って、それを渡すという手もありそうだ。艇によっても違うと思うが、うちの艇なら、ミジップから取ったラインを一本だけで引けば、バウが少し開き気味になる。したがって、おじさんが、ミジップのラインを止めつけている間に、降りたクルーが先ずバウラインを止め、次にスターンラインを止めれば、おじさんがラインを引き過ぎようが、クリートをもたつこうが、特に問題なく係留できるだろう。おじさんの方も仕事をした感があるので、お顔が立つ。

親切でもやいを取ってくれるおじさんに文句なんか言えないし、ましてや、「艇はこのように挙動するのだから、あなたが本来すべきだった事は…」なんて講義を垂れる人はいないだろうから、親切なスカタンおじさんが将来的に減ることは無い。各自それぞれ、自艇の着さんシーケンスに従って、自衛手段を考えるしかないだろうと思う。

コメント

  1. O川 より:

    あー、特にワンライン知らない人に多いやつ笑
    私はそんな雰囲気の所にアプローチする時は、自衛手段でサングラスをして目線を合わせず、気が付かないふり作戦ですな。
    三浦の某桟橋は渡し舟と共用で、その渡し舟の船員さんが非常にフレンドリーでいつも待ち構えてるのでいつもこれ…

    • Koji より:

      サングラス良いかも。お隣とギスギスするのは避けたいんですよ。出るだけ穏便に自衛したい

  2. Takeyvr より:

    ドックラインを渡したくない時は、「ドッキングの練習をしているので、自分たちでやります。ありがとうございます。」と言って渡しません。でも、良く行くドックでは、ミジップのドックラインなら引っ張られても大きく振れることはないので、わらわらと人が寄ってきた場合は渡すようにしています。

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