どうもトイレで配管ミスをしていたらしい。
マリントイレは、ポンプで海水を吸い込んで、ボウルを洗浄し、汚物と共にマッセレーターポンプで細かく砕いて船外に排出する仕組みだが、最近徐々に吸水量が減少して、うまく洗浄できなくなった。
うちの船では、トイレの座面が喫水の下にあるので、給水側、排水側両方共、スルハルからU字ベントを立ち上げて、頂点にアンチサイフォンバルブが設置されている。これがないと、うっかりスルハルを閉め忘れた時に、サイフォン効果で海水が逆流して船が浸水してしまう可能性がある。

この写真のように、アンチサイフォンバルブは、給水側(細い方)と排水側(太い方)と2つあるが、これらは同じものではない筈だ(と思っていた)。排水側はマッセレーターポンプが汚水を押し出して排水するので、アンチサイフォンバルブは圧力がかかると閉じ、圧力がなくなると開いて、サイフォン効果による海水の逆流を防ぐ。一方、給水側は、給水ポンプが海水を吸い込むのだから、このバルブは負圧になると閉じ、負圧がなくなると開いてくれないといけない。

ところが、これらを外して点検してみると、この2つのアンチサイフォンバルブは大きさが違うだけで全く同じものだとわかった。いずれも、弁は圧力がかかると閉じ、圧力がなくなると開く。
ん?どういうこと?これまでも、給水側では弁が開いて空気を吸い込んでいたって事?水はある程度は流れていて使用に問題なかったという事は、配管に小さな穴が開いたのと同じような状態で、非効率ながら水も空気と一緒に吸い込んでいたが、この度、何らかの事情で穴が拡がって(弁が少し緩くなったとか?)、よりたくさん空気を吸い込むことになったために、海水を吸い込めなくなったという事なんだろうか?
と、悩んでいるところへ、Facebookで意外な情報を頂いた。U字ベント(アンチサイフォンバルブ)を設置する場所が違うのではないか?とのご指摘。正しくはこの図のような配管にすべきだと。(この図の出典がわからないので、もし著作権的に問題があればご連絡いただければ対応致します)

そうか!そういう事か?この配管方法ならアンチサイフォンバルブは圧力が掛かった時に閉じる現行のバルブで良い。
という訳で、さっそく配管をこの図の通りやり直したところ、当然のことながら、給水量が復活して、気持ちよく流れるようになった。
ただ、このぐらい流れてくれれば気持ちは良いのだが、排水に比べて給水が多過ぎるようで、排水終わりに便器のボウルに残る水が多過ぎるようだ。(ヘッド側インレット・アウトレットは共に16mmのところ、スルハルが19mmなので、19mmの配管になっているからかも知れない)

そこで、アンチサイフォンバルブと便器のボウルの間に、水量調整用のバルブを追加した。
バルブを半分ぐらい閉じてみるとこんな感じ。これぐらいでちょうど良いかな?
アンチサイフォンバルブもちゃんと機能しているっぽい(給水が止まると配管内で水位が下がっているのが見える)。
それにしてもこの配管ミス。5年ほど前にトイレが壊れて入れ替えた時に、何も考えないでそのまま元通りに配管を繋いだのだが、確かめなかった自分が悪いとはいうものの、元々そうなっていたんじゃないか?という気もしないでもない。まあ、良い勉強になった(ということにしておこう)。
【注 というか言い訳】
書かなくてもきっと事情通の友人から厳しいツッコミが入ると思うので、先に書いておきますが、この流量調整用のバルブは、本来その用途に使うのは望ましくないと言われているゲートバルブです。だってニードルバルブってやたらと高いんだもん。まあ、圧力も流量も大したことのない海水が流れるだけだし、アンチサイフォンバルブより船内側なので、例えここが壊れても浸水のリスクは無いし、まあ良いんじゃね?

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