大帆船時代から受け継がれているシーマンシップには、ひとつひとつに当然のこととして合理的な理屈がある。しかし、先ずは体で覚えなさい。理屈はあとでゆっくり考えてみれば良い。野本先生がご存命の頃、常々おっしゃっていたことだ。
ロープは左手に持って右手で巻く。巻く方向は時計まわり。これは、古典のシーマンシップ。自分でももう40年も続けてきた。
もちろん理屈がある。一度三つ撚りのロープを逆方向に巻いてみればわかるが、キンクだらけになりぐちゃぐちゃになる。
一方、現代のヨットのコントロールロープはほとんどが袋打ちで、もともと撚りが無い。自然と本能的にレース中はコイルせずにフレークして捌いていた。そうしないと逆にキンクしてブロックに詰まることがあるのだ。
最近、袋打ちロープのための、2つのコイル方法が紹介されているのを見て、目から鱗の感じがした。
一つは8の字巻き、
丸いコイルでなく、8の字に巻くことで撚りをオフセットする方法で、特にこのビデオが秀逸なのは、何故片方向のコイルではキンクが起こるのかをビジュアルに説明してくれているところ。
二つ目は、撚りを入れないコイルの仕方
こちらは、一周毎に撚りをオフセットしながら巻ける方法。1周目は掌を下にむけてロープを巻くが、2周目目は掌を上にしてロープを持ち普通にコイルすれば、自動的に撚りがオフセットされるので、これを繰り返す。
いずれも優れていてどちらでも良いと思うが、2番目の方がいくぶんやり易いのと、従来通り丸くコイルされるので出来上がりに違和感がないのが優れているかもしれない。
これはシーマンシップの新古典と呼んでよいのではないかと思う。
考えてみれば、もともと撚りのないロープに撚りをいれながらコイルすれば当然キンクするわけで、今までやってきた方法を盲目的に踏襲するだけではなく、野本先生もおっしゃっていたように、理屈をあとでゆっくり考えてみるプロセスというのはやっぱり大事なんだなあと思った次第。
2017/5/2
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