実験漂流記

堀江謙一さんが最初の冒険に出る前に、何度も何度も繰り返し読んだとおっしゃっていた、アラン・ボンバールの「実験漂流記」、もう絶版になっていて手に入らないと思っていたが、神戸の図書館ネットで検索すると中央図書館にあることが判明、早速取り寄せて読んでみた。

いやあ、この人凄い。自身を遭難による漂流者と同じ環境に置き、予備の水や食料は携行していたものの全く手をつけず、釣った魚と雨水、それと海水(!)のみで、113日間かけて大西洋を横断して生還しちゃったのである。お医者さんで科学的知見に基づく行動だとはいえ、一つ間違えば命を失うようなチャレンジで、よくまあ生きて帰って来たなあという印象。

航海記の方はもちろん感動的だが、最初の方に出てくる「実験室での研究」のところがもっと興味深い。

具体的には、

  • 海難者の90%が難船後3日以内に死ぬことが統計によって示されるが、これは奇妙な事実である。というのは餓えやかわきによって死ぬには、もっと多くの時日が必要だからである
  • かわきが餓えよりも早く人を殺すとしても、絶望は渇きよりもなお早く人を殺すのである。
  • 魚の目方の50%ないし80%は水分である
  • 魚を食べない最初の数日間、体中の水分を平常に保っておくことが重要である。そのためには海水を飲むことができる(一日800−900g以内、最長5日間とのこと)
  • プランクトンの中にはビタミンCがあるはずである。化学分析はこの仮説を証明した。(ボンバール氏は、航海中に目の細かい網を引いて採取した、スプーン1−2杯のプランクトンを毎日食べていた)

特に最初の2つが重要だ。一般に災害で倒壊した建物に閉じ込められた場合なども、72時間がクリティカルタイムだと言われる。それは統計的に出てきた数字なのだろうが、もし希望を失わなければ、もう少し生きられるのかも知れない。

遭難してラフトで漂流なんて想像したくもないが、それを知っているだけで数日間余計に生きられるのなら、これを覚えておかない手は無いと思う。

コメント

  1. O川 より:

    やはり「助かる」というマインドが大きな要素ですよねぇ。
    鰯の頭も…ではありませんが、多くのサバイバル知識があるだけ、あるいは「これをしているから助かる」というマインドだけで随分と生存率が上がる気がします。
    実際飛行機の遭難訓練でも、サバイバルキットに入っている釣れもしない釣り道具の使い方とか教えられるし(クルーに仕事を与えるためだけの代物)。
    前になんだったかの本、俘虜ってタイトルだったかな?ミッドウェイだったかハワイ沖で捕虜になった米兵多数が、日本に移送中にバタバタ亡くなる的な話が。
    興味深い事に食事は日本兵と同じ、環境もさして変わらずで、違いは日本兵は「あとXX日で帰港」という事実を知っていて、捕虜米兵は何も知らずの違いだけ。
    過酷な暑さと水不足(日本兵も同じ)で…のような事を読んだ記憶が。

タイトルとURLをコピーしました